
包括利益を読み解く
会社の儲けを表す言葉として、よく聞くものに当期純利益というものがあります。これは、ある期間に会社がどれだけ儲けたかを表す数字です。しかし、この当期純利益だけでは、会社の真の実力や将来性を正しく捉えることが難しい場合があります。そこで登場するのが包括利益です。
包括利益とは、会社の一定期間におけるあらゆる儲けと損失を全てひっくるめて計算した指標です。当期純利益に加えて、その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益など、将来の儲けに繋がる可能性のある項目も含めて計算されます。
例えば、会社が保有している株の価格が上がったり下がったりした場合、その含み益や含み損は当期純利益には反映されません。なぜなら、実際に株を売って現金を受け取るまでは、確定した儲けや損失ではないからです。しかし、株価の変動は将来の会社の財産に影響を与える可能性があります。そこで、包括利益では、これらのまだ確定していない儲けや損失も含めて計算します。
その他にも、海外との取引で発生する為替の変動による損益も、包括利益に含まれます。円高や円安によって、将来受け取るお金の価値が変わることがあります。これも、実際に現金を受け取るまでは確定した損益ではありませんが、将来の会社の財産に影響を与えるため、包括利益で考慮されます。
このように、包括利益を見ることで、当期純利益だけでは分からない、会社の将来の儲ける力や財産の状況をより詳しく把握することができます。会社の短期的な業績だけでなく、長期的な視点での実力を評価する上で、包括利益は重要な指標と言えるでしょう。