
監査の難しさ:意見不表明とは
「意見不表明」とは、会社の財務状態を示す書類である財務諸表について、監査人が意見を述べることができない、ということを示す報告書のことです。監査人は、会社の財務状態を正しく理解するために、必要な情報を集めて分析する仕事を行っています。
監査人は、会社の帳簿や書類を調べたり、会社の担当者に話を聞いたり、取引先に確認を取ったりと、様々な方法で情報を集めます。集めた情報を分析し、会社の財務諸表が会社の本当の財務状態を正しく表しているかどうかを判断します。そして、その判断結果を報告書にまとめます。これが監査の仕事です。
しかし、様々な事情で必要な情報が手に入らない場合があります。例えば、会社の担当者が資料の提出を拒否したり、自然災害などで資料が失われてしまったりするケースが考えられます。また、集めた情報が不十分で、財務状態を正しく判断するのに足りない場合もあります。例えば、会社の説明に矛盾があったり、証拠となる書類が不十分だったりするケースです。
このような場合、監査人は財務諸表が信頼できるかどうかを判断することができません。判断できない以上、意見を述べることもできません。そこで、監査人は意見を表明することを諦め、「意見不表明」という報告書を提出します。これは、監査人が財務諸表が正しいかどうか保証できないということを意味します。
意見不表明は、必ずしも財務諸表に重大な問題があることを示しているわけではありません。単に、監査人が判断に必要な情報を十分に得られなかったという場合もあります。しかし、投資家やお金を貸している人にとっては、会社の財務状態を知る上で重要な情報となります。なぜなら、会社の財務状態を適切に評価できない可能性があるからです。そのため、意見不表明が出された会社は、情報公開をしっかり行い、投資家やお金を貸している人の不安を取り除く努力をする必要があります。