未実現利益と連結決算:その仕組みと影響
転職の質問
先生、『未実現利益』って、連結グループ内での売買で利益が出ても、グループ全体で見たらただの商品の移動で、外部に売るまで利益じゃないんですよね?
転職研究家
その通りです。例えば、A社がB社に100円で仕入れた商品を120円で売ったとします。A社は20円の利益を計上しますが、A社とB社が連結グループなら、グループ全体ではまだ外部に売っていないので、20円の利益は『未実現』です。
転職の質問
なるほど。じゃあ、B社がその商品を外部に150円で売ったら、初めて利益が実現するんですね?
転職研究家
そうです。その場合、連結グループ全体で50円の利益が実現したことになります。つまり、グループ内で商品が移動しているだけの時は、利益が出たように見えても、それは『未実現利益』として消去する必要があるということです。
未実現利益とは。
仕事を変えることと、新しい技術を学ぶことに関連して、「未実現利益」という言葉について説明します。これは、いくつかの会社がグループでつながっている場合に使われる言葉です。グループ内の会社同士で商品を売買すると、売った会社は利益が出たと考えます。しかし、グループ全体で見ると、商品は単に移動しただけで、グループ外に売らない限り本当の利益ではありません。もし、期末までにグループ外に売らず、その商品の価値が上がっていたとしても、グループで最初に買った値段よりも高い部分は「未実現利益」として、グループ全体の利益からは差し引かれます。
未実現利益とは
「未実現利益」とは、会社同士が商品やサービスを売買した際に、まだ実際にはお金を受け取っていないにも関わらず、帳簿上に計上される利益のことです。
具体的に考えてみましょう。複数の会社が集まった「企業グループ」があるとします。このグループに属する会社Aが、同じグループ内の会社Bに商品を販売したとします。この時、会社Aは、商品を売った価格から仕入れにかかった費用を引いた金額を、利益として自分の帳簿に記録します。これが未実現利益です。
なぜ「未実現」と呼ばれるかというと、会社Bがその商品をグループの外の、一般のお客さんに売るまでは、企業グループ全体としては、実際には利益を得ていないからです。商品はまだグループ内にあり、グループの外からお金が入ってきていないからです。あくまで、グループ内の会社間で商品と帳簿上の利益が移動しただけに過ぎません。
例を挙げると、会社Aが100円の商品を会社Bに120円で売ったとします。会社Aは20円の利益を計上しますが、これは会社Bが商品を売るまでは未実現利益です。もし会社Bが150円で商品を売れば、グループ全体ではじめて30円の利益が確定します。
企業グループ全体の本当の経営状態を正しく把握するためには、この未実現利益を取り除く必要があります。そのため、グループ全体の決算書である「連結決算」を作成する際には、この未実現利益は相殺、つまり帳消しされます。これにより、二重に計上された利益が調整され、グループ全体の正確な利益が計算されるのです。
項目 | 内容 |
---|---|
未実現利益とは | 企業グループ内での取引で、まだグループ外に商品が売れていない段階で計上される利益。 |
発生理由 | グループ内会社間の取引で、商品がグループ内に留まっているため、グループ全体では利益が確定していない。 |
未実現の理由 | グループ外への販売が完了し、グループ外からお金が入るまで、真の利益ではないため。 |
例 | 会社Aが100円の商品を会社Bに120円で販売。会社Aは20円の未実現利益を計上。会社Bが150円で販売後、グループ全体で30円の利益が確定。 |
連結決算での処理 | グループ全体の正確な経営状態を把握するため、未実現利益は相殺される。 |
連結決算における未実現利益の処理
複数の会社が繋がりを持った企業集団を、まるで一つの会社であるかのように見て、お金の流れや業績を計算する方法を連結決算といいます。この連結決算を行う際に、特に気を付けなければならないのが、まだ実現していない利益、つまり未実現利益の処理です。
例えば、会社Aが会社Bに商品を販売したとします。会社Aにとっては商品が売れたので、利益が発生します。しかし、会社Bがその商品をさらに外部のお客さんに販売するまでは、企業集団全体で見れば、本当の利益が出たとは言えません。なぜなら、まだ商品が外部のお客さんに渡っていないからです。
そこで、連結決算では、会社Aで計上された利益は、一旦なかったものとして扱います。具体的には、会社Aの利益を帳消しにして、企業集団全体の利益からも差し引きます。これは、会社Aと会社Bの間で行われた取引による利益を二重に数えてしまうことを防ぐためです。もし、この処理をしないと、企業集団全体の利益が実際よりも多く見えてしまい、投資家などが見誤ってしまう可能性があります。
未実現利益の処理は、企業集団の本当の力を正しく表すためにとても大切です。連結決算では、グループ内の取引で発生した利益を消去することで、外部のお客さんとの取引で得られた本当の利益を明らかにし、より正確な情報を開示することができます。これにより、投資家は安心して投資判断を行うことができ、企業集団の信頼性も高まります。
このように、連結決算において未実現利益を適切に処理することは、企業集団の健全な経営のためにも重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
連結決算 | 複数の会社が繋がりを持った企業集団を、まるで一つの会社であるかのように見て、お金の流れや業績を計算する方法 |
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未実現利益 | まだ実現していない利益。グループ企業内取引で発生した利益はまだ外部顧客に販売されていないため、連結決算では除外される。 |
未実現利益の処理方法 | グループ企業内取引で計上された利益を一旦なかったものとして扱い、連結決算の利益からも差し引く。 |
未実現利益処理の目的 |
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連結決算の意義 |
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未実現利益が生じるケース
つながりの深い企業の間で行われる商品のやり取りで、よく未実現利益というものが生まれます。 例えば、物を作る会社Aと、それを売る会社Bが同じグループに属しているとします。AがBに商品を卸した段階では、Aの帳簿上には利益が出たように見えます。しかし、Bがその商品を最終的なお客さんに売るまでは、本当の利益とは言えません。なぜなら、グループ全体で見れば、まだ商品がお客さんの手に渡っていないからです。この、まだ確定していない利益のことを、未実現利益と呼びます。
具体的に考えてみましょう。Aが100円の原価で作った商品を、120円でBに売ったとします。Aには20円の利益が出たように見えますが、Bがまだその商品を売っていない状態では、この20円は未実現利益です。もしBが150円で商品を売れば、グループ全体で見た本当の利益は50円になります。
未実現利益は、物を作る会社と売る会社の間だけでなく、土地や建物などの固定資産の取引でも発生します。例えば、グループ会社Cが土地をDに売却したとします。Cは売却益を得ますが、Dがその土地をさらに転売するまでは、グループ全体で見た利益は確定していません。これも未実現利益として扱われます。
このように、未実現利益は様々な場面で発生する可能性があり、企業グループ全体の決算書を作成する際には、注意深く確認する必要があります。未実現利益をそのまま利益として計上してしまうと、グループ全体の本当の利益よりも多く見えてしまい、誤った経営判断につながる恐れがあります。そのため、連結決算では、グループ会社間の取引で発生した未実現利益は相殺し、最終的なお客さんに商品やサービスが提供された段階で初めて利益として計上するように調整されます。これにより、より正確なグループ全体の業績を把握することが可能になります。
取引 | 説明 | 未実現利益 | グループ全体の利益 |
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会社A(製造) → 会社B(販売) | Aが100円の原価の商品を120円でBに販売 (Bはまだ販売していない) | 20円 | Bが150円で販売した場合、50円 |
会社C → 会社D (土地) | Cが土地をDに売却 (Dはまだ転売していない) | 売却益 | Dが転売した後で確定 |
未実現利益と税金
まだ現金化されていない利益のことを未実現利益と言います。これは、例えば所有している株や土地などの資産の価値が上がっても、実際に売却して現金を得るまでは利益として確定しないという意味です。会計上は、この未実現利益は利益とは見なされません。しかし、税金の世界では話が変わってくることがあります。場合によっては、税務当局から未実現利益に対しても課税されることがあるのです。
特に注意が必要なのは、グループ会社間での取引です。例えば、親会社が子会社に商品を売却する際、市場価格よりも低い価格で取引した場合、子会社には未実現利益が発生します。税務当局は、このようなグループ会社間の取引価格が市場価格と大きく離れている場合、その差額を未実現利益とみなし、課税対象とする可能性があります。
このような事態を避けるためには、グループ会社間での取引価格は市場価格を参考に設定することが重要です。市場価格を調査し、適正な価格で取引を行うことで、未実現利益に対する課税リスクを減らすことができます。また、未実現利益の税務上の取り扱いは複雑な場合もあるため、税理士などの専門家に相談することも有効な手段です。
さらに、企業全体の業績を示す連結決算では、グループ会社間の内部取引による未実現利益は相殺され、消去されます。単体の決算書では利益として計上されていても、連結決算では利益として計上されないということです。そのため、税務申告の際には、単体と連結の決算における未実現利益の取り扱いの違いを理解し、適切な処理を行うことが必要不可欠です。未実現利益への課税は、企業の資金繰りに影響を与える可能性もあるため、事前の対策と適切な対応が重要と言えるでしょう。
まとめ
会社をいくつか束ねた企業集団全体の決算、いわゆる連結決算では、集団内の会社間取引で生じた、まだ確定していない利益、つまり未実現利益を消す処理が大切です。この処理をすることで、企業集団全体の本当の儲けの実力をはっきりと示すことができるからです。
では、未実現利益とは一体どのようなものでしょうか。例えば、親会社が子会社に商品を売ったとします。この時、子会社はまだその商品を販売しておらず、利益も出ていません。しかし、親会社側では売却益が発生しています。これが未実現利益です。連結決算では、この親会社側の利益を一旦なかったものとして扱います。なぜなら、企業集団全体で見れば、まだ商品は外部に売られておらず、真の利益は実現していないからです。子会社が商品を外部に販売した時点で、初めて利益が実現したと見なされ、連結決算上も利益として計上されます。
未実現利益が発生する取引の形態は様々です。商品の売買だけでなく、資産の譲渡や工事取引などでも発生する可能性があります。また、未実現利益の税金に関する処理も複雑です。そのため、適切な処理をするためには、税理士などの専門家の助言が必要となる場合もあります。
企業集団に属する会社は、連結決算における未実現利益の処理方法を正しく理解し、適切な会計処理を行うことが求められます。もし未実現利益を適切に処理しないと、企業集団の業績を正しく評価することができず、経営判断を誤る可能性も出てきます。また、投資家も、連結決算書の内容を吟味する際には、未実現利益の処理状況に注意を払う必要があります。未実現利益の処理状況を把握することで、企業集団の真の実力を見極め、より的確な投資判断を行うことができるでしょう。
連結決算における未実現利益 | 内容 |
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定義 | 企業集団内の会社間取引で生じた、まだ確定していない利益 |
例 | 親会社が子会社に商品を販売し、子会社がまだ販売していない場合の、親会社の売却益 |
処理 | 連結決算では一旦利益をなかったものとして扱い、子会社が外部に販売した時点で利益計上 |
取引形態 | 商品の売買、資産の譲渡、工事取引など |
税金処理 | 複雑で、専門家の助言が必要な場合も |
重要性 |
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