固定残業代の落とし穴：転職時の注意点

固定残業代の落とし穴：転職時の注意点

固定残業制とは

いわゆる「みなし残業」とも呼ばれる固定残業制は、あらかじめ決められた時間分の残業代を毎月の給料に組み込んで支払う制度です。例えば、月給３０万円の中に、３０時間分の残業代５万円が含まれているといった具合です。営業職のように、仕事の内容から残業時間が読みにくい職種でよく使われています。

一見すると、毎月決まった額の収入が得られるため、安定しているように感じるかもしれません。しかし、仕事を変える際には注意深く検討する必要があります。固定残業代として支払われる金額に見合う残業時間を超えて働いても、それ以上の残業代が支払われない場合もあるからです。

求人情報には、固定残業代に何時間分の残業代が含まれているか、そしてその時間を超えた場合に追加の残業代が支払われるかが記載されているはずです。しっかりと確認せずに転職してしまうと思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。例えば、固定残業時間を大幅に超えて働くことになっても、追加の残業代が支払われなければ、実際の時間給は想定よりも低いものになってしまいます。長時間労働で心身ともに疲弊してしまうかもしれません。

転職活動においては、固定残業制を採用している企業の求人情報には、基本給と固定残業代の金額、そして固定残業時間数が明記されているかを確認しましょう。固定残業時間を超えた場合の残業代の支払いについても、必ず確認することが大切です。記載がない場合は、面接の際に質問するなどして、不明な点を解消しておくべきです。曖昧なままにしておくと、入社後に想定外の労働条件に直面し、後悔することになりかねません。しっかりと制度を理解し、納得した上で転職活動を進めることが大切です。

求人票の見方

仕事を変える活動で、募集要項をよく見ることは大切です。募集要項は、会社のことを知るための大切な資料です。特に、あらかじめ残業代が決まっている会社の場合は、注意深く見る必要があります。

あらかじめ残業代が決まっている会社では、給与や待遇の欄にそのことが書かれていることが多いです。「あらかじめ残業代〇〇円（〇〇時間分）」のように書かれているのを見つけたら、その金額に含まれる残業時間と、実際に仕事でどれくらい残業するかをよく考えてみましょう。もし、あらかじめ決まっている残業時間をいつも超えそうなら、超えた分の残業代がもらえるかどうかも必ず確かめる必要があります。募集要項に書かれていない場合は、面接で質問するようにしましょう。

また、基本給とあらかじめ残業代が決まっている場合の金額の割合にも注目しましょう。あらかじめ決まっている残業代の割合が大きすぎる場合は、基本給が少なくされている可能性があります。これは、将来の昇給やボーナス、退職金などに影響する可能性があるので、注意が必要です。

募集要項に書いてあることをすべて正しいと思わず、疑問があれば積極的に質問することで、入社してから「こんなはずじゃなかった」と思うことを防ぐことができます。募集要項をよく読んで、会社の雰囲気や仕事内容、給与、待遇などを理解しましょう。会社のホームページや口コミサイトなども参考にするのも良いでしょう。そして、面接では、自分の希望や疑問を積極的に伝え、会社との相性を確かめることが大切です。仕事を変えることは大きな決断です。しっかりと情報収集を行い、後悔のない選択をしましょう。

面接での確認事項

仕事を変える場において、会社の人と直接話ができる面接は大切な機会です。聞きたいこと、気になることは遠慮なく質問することで、入社後の働き方を具体的に思い描くことができます。例えば、あらかじめ決められた残業時間制度について疑問があれば、積極的に質問しましょう。

特に、決められた残業時間を超えた場合の残業代の支払い方、実際によくある残業時間、残業時間の管理方法などは、入社後の生活に大きく関わる重要な点です。これらの点を詳しく聞くことで、仕事と生活のバランスを保てるかどうかの見通しが立ちます。

また、会社の労働時間管理への考え方や、仕事と生活の調和への取り組みについて質問することも大切です。会社の雰囲気や働く環境を理解する上で重要な手がかりとなります。面接する人の言葉の内容だけでなく、話し方や態度にも注目しましょう。質問に対してはっきりとした答えを返さなかったり、質問から逃げるような態度が見られる場合は、注意が必要です。

仕事を変えることは人生の大きな転換期です。納得いくまで質問し、疑問をなくすことで、より良い仕事探しにつなげましょう。面接を通して、会社の制度や方針、そして雰囲気を理解し、自分に合った職場かどうかをじっくりと見極めることが大切です。将来の働き方を左右する大切な機会なので、しっかりと準備し、積極的に活用しましょう。

自分の働き方に合うか

働き方の合う、合わないを考える上で、みなし残業制度は重要な点です。会社によって制度の使い方が大きく変わるため、良い点と悪い点を理解し、自分の働き方や考え方に合っているか、じっくりと見極める必要があります。

長時間働くことをいとわず、お給料を重視するのであれば、みなし残業制度は良い点と言えるでしょう。あらかじめ残業代込みの給与が支払われるため、一定の時間まで働いても給与が変わらない安心感があります。成果を上げれば、効率よく仕事を進め、自由な時間を増やすことも可能です。

しかし、仕事と生活の調和を大切にしたい人にとっては、みなし残業時間を超えた分の残業代がちゃんと支払われるか、労働時間の管理が正しく行われているかを確認することが必要です。そうでなければ、長時間労働に陥りやすく、生活に支障をきたす可能性があります。

また、将来の仕事についても考える必要があります。例えば、管理職を目指す場合、残業代が支払われなくなることがあります。みなし残業制度では、管理職になった場合に給与が減る可能性があるため、注意が必要です。

みなし残業制度は、必ずしも悪い制度ではありません。しかし、制度の仕組みをよく理解し、自分の働き方や将来の仕事に合っているかを確かめることが大切です。仕事を選ぶ際には、給与だけでなく、労働時間や仕事内容、会社の雰囲気なども総合的に判断し、自分にとってより良い働き方ができる会社を選ぶようにしましょう。

転職エージェントの活用

仕事を変える活動では、人材紹介会社を使うのが大きな力になります。人材紹介会社は、単に仕事の情報を探すだけでなく、会社との面接の日取り決めや給料などの話し合いもしてくれます。

例えば、残業代が給料に含まれている制度について詳しく知りたい場合、人材紹介会社に相談するのが良いでしょう。求人票には載っていない会社の内部事情や、残業代制度の実態などを教えてくれることがあります。自分がどんな仕事につきたいか、どんな条件が良いかを伝えることで、自分に合った仕事を見つける手助けもしてくれます。

人材紹介会社には、担当者がつきます。担当者は、これまでの経験や持っている技術を丁寧に聞き取り、希望に沿った求人を紹介してくれます。また、応募書類の書き方や面接対策の指導も行ってくれます。初めて仕事を変える人や、自分の強みが分からない人にとって、担当者は心強い相談相手となるでしょう。さらに、企業との間に入って、条件交渉なども行ってくれます。自分だけで交渉するのは難しい場合でも、担当者が間に入ってくれることで、より有利な条件で仕事に就ける可能性が高まります。

人材紹介会社は、仕事を変える活動をする上で、頼りになる存在です。うまく活用することで、希望の仕事に就くだけでなく、活動の手間を省き、時間を有効に使うことができます。積極的に利用し、円滑で効果的な仕事探しを実現しましょう。