就活と「学生時代に力を入れたこと」

就活と「学生時代に力を入れたこと」

就活における頻出質問

仕事探しで必ず聞かれるのが、学生時代に打ち込んだことです。略して「ガクチカ」と呼ばれ、仕事探しをする学生にはおなじみとなっています。会社側は、この質問から学生の人となりや力を色々な角度から知ろうとしています。自分自身の良さを伝える説明や、その会社に入りたい理由と同じくらい、選考で大切な要素となるため、多くの学生がガクチカの答えに頭を悩ませています。どう答えたら自分の魅力が伝わるか、しっかり準備する学生も少なくありません。

ガクチカで会社側が知りたいのは、単に学生時代に頑張ったことではありません。その経験を通して、どのような学びを得て、どのように成長したのか、そして、その学びをどのように仕事に活かしたいのかを知りたいのです。ですから、ただ単に「サークル活動で部長を務めました」と答えるだけでは、会社側はあなたの能力や人となりを知ることはできません。

効果的なガクチカの伝え方として、「PREP法」があります。これは、「Point（結論）」「Reason（理由）」「Example（具体例）」「Point（結論）」の頭文字を取ったものです。まず結論から話し、次にその結論に至った理由を説明します。そして、具体的なエピソードを交えて経験を語り、最後に結論を繰り返すことで、聞き手に強い印象を残します。

例えば、サークル活動で部長を務めた経験を話す場合、「部長としてチームをまとめ、目標達成に導いた経験を通して、リーダーシップとコミュニケーション能力を磨きました。これは、貴社でチームの一員として働く上で必ず活かせると考えています」と結論から始めます。そして、部員間の意見の食い違いをどのように乗り越えたのか、目標達成のためにどのような工夫をしたのかなど、具体的なエピソードを交えて説明します。最後に、「これらの経験から得たリーダーシップとコミュニケーション能力を活かし、貴社で貢献したい」と締めくくります。このように、具体的なエピソードを交えながら、自分の経験と仕事への繋がりを明確にすることが大切です。

ガクチカは、しっかりと準備しておけば、自分の魅力を効果的に伝えることができる絶好の機会となります。自分の経験を振り返り、どのような能力を身につけることができたのか、そして、その能力をどのように仕事に活かしていきたいのかを整理しておきましょう。

企業側の真意

会社は、皆さんが学生時代に打ち込んだことについて話を聞きたいというだけではなく、もっと深いところを知りたいと思っています。それは、皆さんが何に夢中になり、どのように力を尽くし、そしてそこから何を学んだのかということです。特に、初めて社会に出る皆さんを採用する時には、これまでに仕事をした経験よりも、人間性やこれから伸びていく力の方が大切にされます。ですから、学生時代に打ち込んだことは、皆さんの個性や成長の可能性を判断するための大切な手がかりとなるのです。

会社は、皆さんが話してくれる経験を通して、仕事に対する姿勢や問題を解決する力、仲間と協力して仕事を進める力などを評価しようとしています。例えば、あなたが部活動で目標達成のために努力した話をするなら、会社の人は、あなたが仕事でも同じように目標に向かって努力できる人かどうかを考えます。また、あなたが文化祭で仲間と協力して一つのものを作り上げた話をするなら、会社の人は、あなたが仕事でも周りの人と協力して仕事ができる人かどうかを考えます。

さらに、会社は、皆さんが困難な状況にどのように立ち向かったのか、そしてそこからどのような学びを得たのかにも注目しています。例えば、あなたが研究活動で失敗を経験した話をするなら、会社の人は、あなたが仕事で失敗した時にどのように立ち直り、次に活かせる人かどうかを考えます。つまり、会社は、皆さんの経験そのものだけでなく、そこから何を学び、どのように成長したのかを知りたいのです。

ですから、学生時代に打ち込んだことを話す時は、ただ単に出来事を話すだけでなく、自分が何を考え、どのように行動し、そして何を感じ、何を学んだのかを具体的に話すことが大切です。そうすることで、会社はあなたの個性や潜在能力をより深く理解し、あなたにぴったりの仕事を見つけることができるのです。

コロナ禍での変化

{世界的な流行病は、私たちの生活を一変させ、学生たちの学びや経験にも大きな影を落としました。人と人との接触が制限される中で、大学生活の華とも言えるサークル活動やボランティア活動、海外留学などは、思うように行うことができなくなりました。多くの学生が楽しみにしていた活動や計画は中止や延期を余儀なくされ、楽しみにしていた思い出を作る機会を失ってしまった学生も少なくありません。

このような状況下で、就職活動における「学生時代に力を入れたこと（ガクチカ）」を問うことの適切性について、様々な議論が巻き起こりました。活動が制限された学生にとって、ガクチカでアピールできる経験が乏しくなってしまうことは明白です。企業側もこの状況を理解し、ガクチカを評価する際の視点や質問内容を見直す動きが出てきています。例えば、コロナ禍でどのように困難を乗り越えたか、工夫して活動したか、どのような学びを得たかなど、学生の主体性や柔軟性、問題解決能力などを評価する視点が重視されるようになってきています。

また、コロナ禍で新たに生まれたオンラインでの活動や学習経験も、ガクチカとして有効なアピール材料となります。オンラインでのグループワークや勉強会、趣味のオンラインコミュニティへの参加などを通して得られた経験やスキルは、新しい時代における適応力やコミュニケーション能力の高さを示すものとして評価される可能性があります。大切なのは、どのような状況でも前向きに取り組み、自ら学び成長しようとする姿勢を示すことです。コロナ禍での経験をどのように捉え、どのように行動したかを具体的に説明することで、企業は学生の真の力を見極めようとしています。

変化の時代だからこそ、これまでの常識にとらわれず、柔軟な発想で就職活動に臨むことが重要です。コロナ禍での経験を前向きに捉え、自身の成長につなげることで、新たな時代を切り拓く人材として評価されるはずです。

効果的な回答

仕事を変える際に、採用担当者に自分のことをうまく伝えるには、学生時代に力を入れたことについて、具体的な話をすることが大切です。ただ活動内容を説明するだけでは不十分です。自分がどんな役割を担い、どんな苦労をし、どう乗り越えたのかを具体的に話すことで、自分の力や人柄が伝わります。例えば、大学祭の実行委員で、資金集めに苦労したとします。目標金額に届かず、諦めかけた時に、地域のお店に協賛をお願いすることを思いつき、何度も足を運んで交渉し、最終的に目標を達成できた、といった具合です。具体的な数字や出来事を交えて話すことで、説得力が増し、聞き手の印象にも残ります。

また、その経験から何を学び、どう成長できたかを伝えることも重要です。資金集めの例で言えば、交渉力や粘り強さを身につけ、目標達成の喜びを知ったこと、そして、チームで協力することの大切さを学んだことを伝えましょう。企業は、経験から得られた学びや成長を評価することで、将来活躍できる人材かどうかを見極めようとしています。単に活動内容を説明するだけでなく、そこから何を学び、どう成長できたのかを伝えることで、自己分析力や成長意欲をアピールできます。

さらに、学生時代に力を入れたことと、志望する仕事との繋がりを説明することで、入社したいという気持ちを効果的に伝えることができます。例えば、資金集めの経験を通して身につけた交渉力や粘り強さは、営業職で活かせると説明することで、入社意欲の強さを伝えることができます。学生時代の経験と志望動機を結びつけることで、企業はあなたの入社意欲を本物だと感じ、採用に前向きになるでしょう。このように、具体的なエピソード、そこから得られた学び、そして志望動機との繋がりを意識して話すことが、仕事を変える際に効果的な自己PRとなります。

準備と練習

仕事を変えるということは、人生における大きな転換期です。新たな挑戦への期待と共に、未知の環境への不安も抱えることでしょう。だからこそ、事前の準備と練習が成功の鍵を握ります。あたかも、高い山を登る際に、入念な計画とトレーニングを欠かすことができないように。

まず、自分のこれまでの歩みをじっくり振り返ってみましょう。学生時代の経験、アルバイト、趣味、ボランティア活動など、あらゆる活動を思い出してみてください。そして、それらの経験の中から、応募する会社が求める人材像に合致するエピソードを選び出します。

次に、選んだエピソードを効果的に伝えるための物語を組み立てます。物語には、起承転結が必要です。まず、どのような状況だったのかを説明し、次に自分がどのような行動をとったのかを具体的に示します。そして、その結果どのような成果が得られたのか、どのような学びがあったのかを明確に述べることが重要です。

物語が完成したら、何度も声に出して練習しましょう。家族や友人に聞いてもらって、客観的な意見をもらうのも良いでしょう。スムーズに話せるまで練習することで、本番での緊張を和らげ、自信を持って話せるようになります。まるで、舞台役者が何度も稽古を重ねて、本番で最高の演技を披露するように。

さらに、面接で聞かれそうな質問への回答も準備しておきましょう。自分の強みや弱み、志望動機、キャリアプランなど、定番の質問への回答はもちろんのこと、仕事内容に関する具体的な質問や、会社に関する質問への回答も準備しておくと、面接官に熱意と誠実さを伝えることができます。

準備と練習は、成功への近道です。しっかりと準備することで、自信を持って面接に臨み、希望の仕事への扉を開くことができるでしょう。

自己分析の重要性

仕事を変える、あるいは新しい技術を身につけるためには、まず自分自身を深く知る必要があります。そのための手段として、学生時代に力を入れた活動（ガクチカ）を振り返ることは大変有効です。ガクチカの準備をする過程で、自分の得意なことや苦手なこと、大切にしている考え方、そして将来どうなりたいかなどを改めて見つめ直すことができます。これは、自分自身を分析する良い機会となります。自分を知る作業は、仕事探しだけでなく、将来の仕事人生を考える上でもとても大切です。

自分自身を理解することで、自分に合った仕事や会社を見つけやすくなります。本当にやりたいこと、得意なことを仕事にすることで、仕事に対する喜びや満足感も高まるでしょう。また、自分の苦手なことや弱点を理解していれば、仕事で壁にぶつかった時にも、どのように乗り越えていけば良いのかを考えやすくなります。例えば、人前で話すのが苦手なことに気づいていれば、事前にしっかりと準備をする、あるいは話すのが得意な同僚に相談するなど、対策を立てることができます。

ガクチカは、面接の対策としてだけではなく、自分自身の成長を促す機会として捉えることができます。学生時代に打ち込んだこと、そこから得られた学びや気づきを整理することで、自分自身の強みや弱み、そして仕事に対する価値観を明確にすることができます。これは、将来、どのような仕事で活躍したいのか、どのような会社で働きたいのかを考える上で、重要な指針となります。自分自身を深く理解することで、より良い仕事選び、そしてより充実した仕事人生を送ることができるでしょう。ガクチカの準備を通して、自分自身と向き合い、将来のキャリアプランを具体的に描いていきましょう。