貸借対照表

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リース会計の基礎知識

会社を経営する上で、機械や設備、建物といった必要なものを手に入れる方法は、買う以外にも借りるという方法があります。この借りる方法をリースといいます。以前の会計のやり方では、リース契約の種類によって、帳簿に資産として記録するかどうかが変わっていました。例えば、実質的に買ったのとほぼ同じ契約である所有権移転外ファイナンスリースや所有権移転ファイナンスリースは資産として記録されていましたが、単なる借り物として扱うオペレーティングリースは資産として記録されませんでした。この違いによって、リース契約の実態が会社の財務状況を正しく表す帳簿にきちんと反映されない場合があり、会社の本当の財務状態を理解するのが難しいという問題がありました。 そこで、リース契約の内容をもっと分かりやすくし、異なる会社同士の財務状況を比較しやすくするために、新しいリース会計が導入されました。この新しいリース会計では、原則としてすべてのリース契約を資産として帳簿に記録するように定められています。これにより、会社の財務状況をより正確に把握できるようになります。具体的には、リース契約に基づいて使用している機械や設備などを、あたかも購入したかのように帳簿に「使用権資産」として計上します。それと同時に、リース料の支払いを将来の負債として「リース負債」として計上します。このように、資産と負債の両方を計上することで、会社の財務状況をより正確に表すことができ、投資家などにとって会社の財務内容を理解しやすくなります。また、すべてのリース契約を資産計上することで、企業間の財務状況の比較が容易になり、より公正な競争環境が促進されることが期待されます。従来の方法では、リース契約の内容が財務諸表に十分に反映されない場合があり、企業の財務リスクを正しく評価することが困難でした。新しいリース会計基準の導入によって、財務の透明性が向上し、企業の財務状況に関するより正確な情報を提供できるようになります。
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転職で有利!財務分析力を磨こう

財務分析とは、会社のお金の流れや状態を調べる方法です。会社の状態を様々な角度から数字で表現することで、会社の今の強みや弱み、そしてこれからの見通しを明らかにすることができます。 財務分析を行うためには、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」と呼ばれる書類を使います。これらは会社の財務状況を記録した大切な書類で、まるで会社の健康診断表のようなものです。 貸借対照表は、ある時点での会社の財産(資産)と借金(負債)、そして自己資金(純資産)の状態を示しています。会社の財産がどのように集められ、どのように使われているのかがわかります。 損益計算書は、一定期間の会社の収益と費用、そして最終的な利益を示しています。会社がどれだけお金を稼ぎ、どれだけ費用を使ったのか、そしてどれだけの利益が残ったのかがわかります。 キャッシュ・フロー計算書は、一定期間の会社のお金の出入りを示しています。会社がどのようにお金を得て、どのようにお金を使ったのかがわかります。 これらの書類に書かれている数字を比べることで、会社の様々な側面が見えてきます。例えば、「収益性」を見るためには、売上高や利益率といった数字を調べます。売上高は、会社が商品やサービスを売って得たお金の合計で、利益率は売上高に対してどれだけの利益が出たかを示す割合です。 「安全性」を見るためには、負債比率や自己資本比率といった数字を調べます。負債比率は、会社の財産全体に対して借金がどれだけの割合を占めているかを示し、自己資本比率は自己資金がどれだけの割合を占めているかを示します。 「効率性」を見るためには、資産回転率や在庫回転率といった数字を調べます。資産回転率は、会社の資産をどれだけ効率的に使って売上を上げているかを示し、在庫回転率は、商品がどれくらいの速さで売れているかを示します。 「成長性」を見るためには、売上高成長率といった数字を調べます。売上高成長率は、前の期間と比べて売上がどれだけ伸びているかを示します。 このように、財務分析は会社の現状を理解し、未来を予測するための大切な道具です。会社の経営判断には欠かせないものと言えるでしょう。
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会計等式を理解する

会社のお金の流れを理解する上で、会計等式は基本中の基本です。これは、会社の財政状態、つまりお金を持っている状況を、まるで写真のようにある時点で切り取って見せてくれるものです。この等式は、会社の財産、借金、そして純資産の関係を示しています。 まず、財産について考えてみましょう。これは会社が持っているあらゆる価値のあるものです。例えば、お店でお客さんを受け入れるための建物や、商品を作るための機械、すぐに使える現金や銀行預金、売るための商品など、会社が事業活動を行うために必要なもの全てが含まれます。これらをまとめて、資産と呼びます。 次に、借金についてです。会社は事業を始める時や、拡大する時に、お金を借りることがあります。銀行からの借入金や、仕入れ先への支払いなどがこれにあたります。これらは将来返済する義務があるので、負債と呼びます。 最後に、純資産について説明します。これは、会社の本当の持ち分を示すものです。会社の設立時にオーナーが出したお金や、事業活動で得た利益を積み重ねたものから、過去の損失を引いたものが純資産です。これは、会社が全て借金を返済した後に残る部分であり、資本とも呼ばれます。 会計等式は、資産、負債、資本の関係を次のように表します資産 = 負債 + 資本。これは、会社の財産は、借金と純資産の合計と常に等しいことを意味します。例えば、会社の財産が100万円で、借金が30万円だとすると、純資産は70万円になります。この等式は常に成り立つため、どれか一つが変われば、他の要素も連動して変化します。例えば、会社が新たに機械を購入して財産が増えれば、借金が増えるか、純資産が増えるか、あるいはその両方が起こります。 この関係を理解することは、会社の財政状態を正しく把握し、健全な経営を行う上で非常に重要です。
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一年基準:流動と固定資産の区分

一年基準とは、企業のお金の流れを一年という期間で区切り、財務状態を把握するための大切な考え方です。簡単に言うと、一年以内に現金に変わる見込みの財産や、一年以内に支払う必要のある負債をまとめて、短期的な視点で会社の状態を評価するための基準です。 具体的には、会社の財産目録である貸借対照表を作る際に、それぞれの財産や負債を「流動」か「固定」かに分類するために使われます。一年以内に現金化できる、あるいは一年以内に支払いを済ませる必要があるものは「流動」に分類されます。例えば、商品を売ってすぐに現金になるような在庫や、一年以内に支払う予定の給料などは「流動資産」「流動負債」となります。 逆に、一年以上かけて現金になるものや、一年以上後に支払うものは「固定」に分類されます。例えば、工場や建物といったすぐに売ることが難しいものは「固定資産」、長期の借入金などは「固定負債」に分類されます。 ただし、一年を超えていても、会社の通常の商売の流れの中で一年以内に現金化や支払いが完了するものは「流動」として扱われます。例えば、製造期間が一年を超えるような製品の製造費用であっても、完成して販売すれば一年以内に現金化できる場合は「流動資産」に含めます。 この一年基準は「ワン・イヤー・ルール」とも呼ばれ、会社の財務状態を分析する上で基本となる考え方です。流動資産と流動負債を比較することで、短期的な支払能力を測る指標である「流動比率」などを算出することができます。これらの指標を理解することで、会社の経営状態を正しく把握し、投資判断などに役立てることができます。
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一年基準で資産と負債を見極める

一年基準とは、企業のお金の流れを示す貸借対照表において、資産や負債を短期のものか長期のものかを区別するための重要なルールです。このルールは、一年以内という期間を基準にしています。 具体的に資産について見てみましょう。もしある資産が一年以内に現金に換えられる、あるいは一年以内に使って無くなる見込みであれば、それは流動資産に分類されます。例えば、売掛金や商品、現金などがこれにあたります。反対に、一年を超えて保有される見込みの資産は固定資産に分類されます。建物や機械、土地などがその代表例です。 負債についても同様に、一年基準が適用されます。一年以内に支払う必要のある負債は流動負債に分類されます。買掛金や短期借入金などがその例です。一方、一年を超えて返済期間がある負債は固定負債に分類されます。社債や長期借入金などが代表的なものです。 一年基準は、企業の短期的な財務の健全性を評価するために不可欠です。流動資産と流動負債のバランスを見ることで、企業が短期的な支払能力をきちんと持っているかを判断することができます。一年基準は「一年ルール」とも呼ばれ、貸借対照表を読み解く上で重要な役割を担っています。 一年基準によって、投資家や債権者などは企業の短期的な資金繰りの状況を把握し、投資や融資の判断材料とすることができます。また、企業自身も、この基準を用いて自社の財務状態を分析し、経営の改善に役立てることができます。