異常項目

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金融

異常項目:その意味と影響

会計の世界では、企業の成績表とも言える財務諸表がとても大切です。その中でも、損益計算書は会社の儲け具合を示す重要な資料です。この損益計算書の中には、普段の商売とは関係のない、特別な出来事で発生する費用や利益があります。これを、昔は異常項目と呼んでいました。 異常項目とは、簡単に言うと、めったに起こらない珍しい出来事で発生する費用や利益のことです。例えば、思いがけない大きな災害で工場が壊れてしまったときの修理費用や、会社が訴えられて多額の賠償金を支払うことになった場合などが考えられます。こうした出来事は、会社の普段の活動とは関係なく、いつ起こるか予想がつきません。毎年のようにあるものではないため、特別に扱わなければ会社の本来の儲け具合を正しく理解することができなくなってしまうのです。 以前は、これらの特別な費用や利益は、損益計算書の中で他の項目とは分けて表示されていました。そうすることで、投資家など会社に関心のある人たちが、会社の普段の業績と特別な出来事による影響を分けて考えることができると考えられていたからです。しかし、実はこの異常項目という表示方法は、今では禁止されています。 なぜ禁止になったのかというと、会社の経営者が自分の都合の良いように数字を操作できてしまう可能性があったからです。例えば、業績が悪い時に、本当は普段の商売で発生した損失を異常項目として処理してしまうと、まるで普段の商売はうまくいっているかのように見せかけることができます。このようなごまかしがあると、投資家たちは会社の本当の状況を理解できず、間違った判断をしてしまうかもしれません。 そこで、財務諸表の信頼性を守るため、そして投資家たちを守るため、国際的な会計ルールでは異常項目の表示を禁止することにしたのです。今では、特別な出来事の費用や利益も、他の項目と同じように計上し、会社の全体像をありのままに示すことが求められています。