
転職とリスキリング:職業の理解
仕事の種類をきちんと分けて、整理して考えることは、転職や新たな技能を身につける上でとても大切です。たくさんの仕事がある中で、自分に合う仕事や、これから進むべき仕事の道筋をはっきりさせるには、それぞれの仕事の特徴や必要な能力を理解する必要があるからです。
昔から、仕事の種類を分ける方法の一つとして、アメリカの労働省が作った『職業分類辞典』というものがあります。この辞典には、1万種類を超える仕事が載っていて、それぞれの仕事について詳しい情報が載せられています。特に注目すべきは、DPT分類と呼ばれる分け方です。これは、仕事をする上で必要な要素を「情報」「人」「物」の3つの視点から数字で表し、それぞれの仕事に3つの数字を組み合わせた番号を付けることで、その仕事のおおよその性質が分かるようにしたものです。
例えば、事務の仕事は主に「情報」を扱うため、情報の点数が高く、営業の仕事は主に「人」を扱うため、人の点数が高くなります。また、工場の仕事は「物」を扱うため、物の点数が高くなります。このように、3つの視点から数字で表すことで、一見すると全く違う仕事に見えるものでも、実は似た性質を持っていることが分かったり、逆に同じような仕事に見えても、実は求められる能力が大きく違うことが分かったりします。
このDPT分類は、異なる仕事の間の似ている点や違う点を客観的に比べることができるようにしたという点で画期的でした。自分にどんな仕事が向いているのか、どんな能力を伸ばせばいいのかを考える上で、とても役立つ方法です。現在ではDPTに変わる新たな分類方法も出てきていますが、基本的な考え方はDPT分類から受け継がれており、多くの国で参考にされています。