
エレベーター据付工:未来を昇降させる職人
建物を建てる際、人や物を運ぶために欠かせない設備のひとつにエレベーターがあります。このエレベーターを建物に設置するのが、エレベーター据付工の仕事です。建物の設計図をもとに、エレベーターの各部品を組み上げていく、緻密さと技術力が求められる仕事です。まず、設計図を読み解き、エレベーターを設置する場所の寸法や、レール、巻上機(かじょうき)、制御盤などの部品の位置を正確に把握します。その後、それぞれの部品をクレーンなどを用いて運び、決められた位置に取り付けていきます。ミリ単位のズレも許されないため、細心の注意が必要です。
部品の取り付けが終わったら、次は配線作業です。モーターや制御盤、かご内の照明など、様々な機器を正しく配線しなければ、エレベーターは動きません。配線が完了したら、制御盤の設定を行い、エレベーターが正常に動作するかを確認します。そして、安全装置が正しく機能しているか、乗り心地に問題がないかなど、様々な項目をチェックし、調整を行います。一つひとつの作業を丁寧に行い、安全で快適に利用できるエレベーターを作り上げていく、まさにものづくりのプロフェッショナルと言えるでしょう。
エレベーター据付工の仕事は、高所での作業や、重い部品の運搬など、体力を必要とする場面が多くあります。また、作業現場は屋内だけでなく、屋外の場合もあります。天候に左右されることもあるため、体力と同時に、柔軟な対応力も求められます。しかし、建物の完成とともに、自分が設置したエレベーターが稼働し、人々の生活を支える様子を目の当たりにしたときは、大きな達成感とやりがいを感じることができるでしょう。建物になくてはならないインフラ設備を構築する、責任と誇りある仕事です。