国家資格

理学療法士は、病気やけが、あるいは加齢などが原因で身体に不自由を抱える人々に対し、再び歩けるように、あるいは日常生活を支障なく送れるように、と親身に寄り添いながら、身体機能の回復や維持、向上を支援する専門家です。その活躍の場は病院や診療所にとどまらず、介護施設やスポーツクラブ、学校、企業など、多岐にわたります。 病院では、整形外科、脳神経外科、呼吸器科、小児科など様々な診療科で、医師の指示のもと、患者さん一人ひとりの状態に合わせた運動療法や物理療法のプログラムを作成し、実施します。例えば、骨折やねんざ、手術後のリハビリテーションでは、関節の動きをスムーズにするための運動や、筋力トレーニング、歩行練習などを通して、身体機能の回復を促します。脳卒中など脳に損傷を受けた患者さんには、麻痺した手足の機能回復訓練や、日常生活動作の練習などを行います。呼吸器疾患の患者さんには、呼吸機能を高めるための訓練や、痰を出しやすくする手技などを指導します。また、小児科では、発達に遅れのある子どもたちに対し、運動機能の向上や日常生活動作の獲得を支援します。 病院以外でも理学療法士の活躍の場は広がっています。高齢者施設では、入居者の身体機能の維持・向上を図るための運動プログラムの提供や、日常生活動作の指導、転倒予防の指導などを行います。スポーツクラブでは、運動指導や怪我の予防、リハビリテーションなどを通して、人々の健康増進に貢献します。学校では、障害を持つ子どもたちの運動機能の向上や、日常生活動作の支援を行います。企業では、従業員の健康管理や、職場環境の改善、労働災害の予防などに関わります。 このように理学療法士は、人々の健康な暮らしを支え、生活の質の向上に貢献する、やりがいのある仕事と言えるでしょう。社会の高齢化が進むにつれ、理学療法士の需要はますます高まっていくと予想されます。理学療法士を目指す人は、人々の健康に貢献したいという強い思いと、身体に関する専門的な知識、そして患者さんに寄り添う温かい心を持つことが大切です。

心の専門家として人々の心に寄り添い、支えたいと考える人にとって、臨床心理士は魅力的な職業です。しかし、臨床心理士になるための道のりは、相応の努力と時間を要します。まず、第一の関門は大学院進学です。心理学を専門に扱う大学院の修士課程に進み、必要な知識と技能を習得しなければなりません。大学院では、心理学の基礎理論、様々な研究方法、心理検査の方法、そしてカウンセリングや心理療法といった、多岐にわたる分野を学びます。 大学院での学びは、机上の学習だけにとどまりません。実務経験も非常に重要です。大学院在学中や修了後に、病院や診療所などの医療機関、学校や教育委員会などの教育機関、あるいは福祉施設などで実習や研修を通して実践的なスキルを磨く必要があります。人々の心に触れ、様々な事例に接することで、教科書だけでは学ぶことのできない貴重な経験を積むことができます。 そして、大学院を修了し、必要な実務経験を積んだ後、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格試験に挑戦することになります。この試験に合格することで、晴れて臨床心理士として認められるのです。受験資格を得るためには、指定された大学院で所定の科目を履修し、必要な単位を取得していることが必須条件です。試験は、心理学の専門知識や臨床経験、倫理など多岐にわたる内容で、十分な準備と学習が必要です。 臨床心理士の資格は、心の専門家としての能力を証明するだけでなく、社会的な信頼を得るためにも重要です。資格取得はゴールではなく、人々を支えるためのスタート地点です。だからこそ、計画的に学習を進め、実務経験を積み重ね、人々の心に寄り添うことができる臨床心理士を目指しましょう。

臨床工学技士とは、人の命を支える様々な医療機器を扱う専門家です。 人工呼吸器や人工心肺装置、血液をきれいにする装置など、高度な医療機器を安全に使えるように操作したり、点検したりするのが主な仕事です。これらの機器は、手術室や集中治療室、透析室など、病院の様々な場所で活躍しています。医師や看護師と協力しながら、患者さんが安心して治療を受けられるよう、陰で支えている大切な存在です。 具体的な仕事内容は多岐に渡ります。例えば、手術中に心臓や肺の働きを代行する人工心肺装置の操作や、呼吸がうまくできない患者さんのために人工呼吸器を設定・管理するなど、生命維持に直結する業務を担当します。また、血液透析を行う際に使用する装置の操作や、これらの機器が常に正常に作動するように定期的な点検や修理も行います。さらに、新しい医療機器を導入する際には、その機器の特性を理解し、安全に使えるように操作手順を作成したり、医師や看護師に使い方を教えたりすることも重要な仕事です。 医療機器は日々進化しており、より高度で複雑なものとなっています。そのため、臨床工学技士には、常に新しい知識や技術を学ぶ姿勢が求められます。医療現場では、機器の不具合が患者さんの生命に関わる重大な事故につながる可能性もあるため、責任感と冷静な判断力も必要不可欠です。 近年、医療の現場では、ますます多くの高度な医療機器が使用されるようになっており、臨床工学技士の需要はますます高まっています。まさに、医療を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。