デザイン思考

工業デザイナーとは、私たちの暮らしを豊かに彩る、様々な製品のデザインを手がける専門家です。冷蔵庫や洗濯機といった家電製品をはじめ、椅子や机などの家具、自動車や電車といった乗り物、子どもたちが遊ぶおもちゃまで、実に多様な製品のデザインに関わっています。工業デザイナーの仕事は、ただ製品の見栄えをよくするだけではありません。使いやすさや安全性、製造にかかる費用、環境への配慮など、様々な視点を踏まえてデザインを行う必要があります。 まず、工業デザイナーは、消費者がどのような製品を求めているのかをしっかりと理解しなければなりません。どのような機能が求められているのか、どのような形状や色使いが好まれるのか、徹底的に調べ分析します。そして、市場調査の結果や最新の技術動向などを踏まえ、製品のコンセプトを練り上げます。具体的なデザイン作業では、スケッチを描いたり、コンピューターを使って３次元モデルを作成したりしながら、製品の形や色、素材などを決めていきます。試作品を作り、実際に使い勝手を確かめることも重要な作業です。使いにくい製品は、いくら見た目美しくても良い製品とは言えません。また、製造工程やコストも考慮しなければなりません。いくら優れたデザインでも、大量生産が難しかったり、製造費用が非常に高額になってしまっては、商品化は難しくなります。 さらに、近年では環境問題への意識の高まりから、環境に優しい素材の活用や、省エネルギー化なども重要な要素となっています。工業デザイナーは、単に美しい製品を作るだけでなく、人々の生活をより豊かに、より便利にする製品を生み出すという重要な役割を担っているのです。消費者のニーズに応えながら、新しい価値を創造していく、それが工業デザイナーの使命と言えるでしょう。