クレペリン検査

{クレペリン検査とは、ドイツの精神医学者であるエミール・クレペリン氏が開発した性格検査法}です。正式名称は「クレペリン精神検査」と言いますが、一般的には「クレペリン検査」と呼ばれています。この検査は、作業検査法に分類され、単純な計算作業を繰り返し行わせることで、仕事への取り組み方や変化への対応力、精神的な安定度などを総合的に評価することを目的としています。 検査方法は非常にシンプルです。１分ごとに区切られた欄に、一桁の足し算をひたすら繰り返していくというものです。例えば、「３＋４＝７」、「７＋５＝１２」といった具合に、前の計算結果と次の数字を足し算していきます。この単純な作業を、多くの場合３０分間続けていきます。一見簡単そうに見えますが、時間制限がある中で同じ作業を繰り返すことは、精神的に負担がかかります。 クレペリン検査では、計算の正答数そのものよりも、作業量の変化や正確さの推移といった作業曲線が重視されます。作業曲線を見ることで、集中力の持続時間や、注意力の散漫になりやすさ、精神的な疲労への耐性、回復力などが見えてきます。例えば、作業量が安定している人は、地道な努力を続けられる粘り強さがあると評価されます。反対に、作業量の変動が激しい人は、気分のムラがあると解釈されることもあります。また、ミスが多い場合は、注意力の欠如や衝動的な性格を示唆している可能性があります。 クレペリン検査は、企業の採用選考や人事異動、社員研修など、様々な場面で活用されています。一見単純な計算問題を通して、その人の隠れた能力や特性を多角的に捉えることができる、有効な評価ツールと言えるでしょう。