みなし残業

記事数:(1)

転職用語

固定残業代の落とし穴

毎月の給与明細に「固定残業代」という項目を見たことはありませんか?これは、あらかじめ一定時間分の残業手当を基本給に組み込んで支給する仕組みです。毎月決まった額が支払われるため、残業の有無は関係ありません。「みなし残業」や「定額残業」と呼ばれることもあります。 企業にとっては、この仕組みにはメリットがあります。毎月の残業時間を個別に集計する手間が省け、給与計算を簡略化できるからです。また、人件費の予算管理もしやすくなります。 しかし、労働者にとっては注意が必要です。もし実際に働いた残業時間が、固定残業代に含まれる時間よりも多かった場合、その超過分に対する残業代が支払われない可能性があります。例えば、固定残業代に20時間分の残業代が含まれていて、実際に30時間残業した場合、10時間分の残業代が未払いになる可能性があるのです。 また、残業時間の管理が曖昧になることも問題です。固定残業代に含まれる時間数を大きく超えて残業しているにも関わらず、その実態が把握されないまま放置される危険性があります。過重労働につながる恐れもあるため、日々の労働時間の記録は必ず行いましょう。 さらに、固定残業代が適法であるためには、いくつかの条件があります。まず、労働契約書などに、固定残業代の金額、算定基準(時間単価や時間数)、対象となる業務内容などが明確に記載されている必要があります。また、固定残業代として支払われる金額が、実際に働いた残業時間に対する残業代よりも低い金額であってはいけません。 転職活動中や現在の仕事で固定残業代に関する疑問があれば、労働基準監督署などの専門機関に相談することをお勧めします。固定残業代の仕組みを正しく理解し、自分の労働条件に合致しているかを確認することは、自身の権利を守る上で非常に重要です。