会社を乗っ取る?TOBの仕組み

会社を乗っ取る?TOBの仕組み

転職の質問

先生、最近『TOB』っていう言葉をニュースでよく聞くんですけど、転職やリスキリングと何か関係があるんですか?

転職研究家

いい質問だね。転職やリスキリングとは直接の関係はないんだけど、会社が大きく変わる時に関係してくることがあるんだ。TOBっていうのは、簡単に言うと、ある会社が他の会社の株をたくさん買い集めて、その会社を乗っ取ろうとすることだよ。

転職の質問

乗っ取っちゃうんですか!? そうすると、そこで働いている人たちはどうなるんですか?

転職研究家

そう、乗っ取られると、会社の経営方針が変わったり、仕事の内容が変わったり、場合によってはリストラされる人もいるかもしれない。だから、転職やリスキリングが必要になる人も出てくる可能性がある、という間接的な関係はあると言えるね。

TOBとは。

会社を移ることと、新しい技能を身につけることに関連した言葉、『ティーオービー』について説明します。『ティーオービー』は『たけおーばーびっど』の略で、日本語では『株式公開買い付け』と言います。これは、ある特定のたくさんの人たちに、値段や期間などを広く知らせて、持っている株を売ってくれるようにお願いし、証券取引所の外で、それらの株を買い取ることです。

株式公開買い付けとは

株式公開買い付けとは

株式公開買い付け(TOB)とは、ある会社(買い付けを行う会社)が、別の会社(買い付けの対象となる会社)の株を、その会社の株主から直接買い取る仕組みのことです。

通常、株の売買は証券取引所などの市場を通して行われますが、株式公開買い付けの場合は、市場を通さずに、買い付けを行う会社が直接株主から株を買い取ります。この買い取りは、あらかじめ定められた期間と価格で行われます

市場で株を買い集めると、株価が大きく変動してしまう可能性がありますが、株式公開買い付けでは、このような影響を抑えながら、多くの株を一度に取得できます。

株式公開買い付けを行う目的は様々です。例えば、買い付けを行う会社が、買い付けの対象となる会社の経営権を握るために行う場合もあります。また、すでに出資している会社との関係をより強固にするために行う場合もあります。

買い付けを行う会社は、株式公開買い付けを行う前に、その目的、株の買い取り価格、買い取りを行う期間など、買い付けに関する重要な情報を公開する義務があります。これにより、株主は公開された情報に基づいて、自分の持っている株を売るのか、それとも売らないのかを、じっくりと判断することができます。

株式公開買い付けは、企業の買収や合併、提携などにおいて重要な役割を果たす仕組みです。株主は、公開された情報をしっかりと確認し、自分の利益を守るために行動することが大切です。

項目 内容
定義 ある会社が、別の会社の株を、その会社の株主から直接買い取る仕組み
買い取り方法 市場を通さず、買い付けを行う会社が直接株主から買い取る
買い取り期間・価格 あらかじめ定められた期間と価格で実施
メリット 株価の大きな変動を抑えながら、多くの株を一度に取得可能
目的 経営権の取得、出資先との関係強化など
情報公開 買い付けを行う会社は、目的、価格、期間などの重要情報を公開する義務あり
株主の行動 公開された情報に基づいて、株を売るか売らないかを判断
役割 企業の買収・合併・提携において重要な役割

TOBの種類

TOBの種類

会社の支配権を移すための株式公開買い付け(TOB)には、主に二つの種類があります。一つは友好的TOB、もう一つは敵対的TOBです。

友好的TOBは、買収される側の会社の経営陣の賛同を得て行われます。まるで仲の良い友達同士が協力し合うように、事業の提携や経営の統合といった目的を円滑に進めるために行われることが多いです。例えば、ある会社が別の会社と技術を共有して新しい製品を開発したい場合、友好的TOBによって経営を統合することで、より効率的に開発を進めることができます。また、経営が悪化している会社が、再建のために支援してくれる会社に友好的TOBで買収を依頼することもあります。このような場合、従業員の雇用を守りながら経営の立て直しを図ることができます。

一方、敵対的TOBは、買収される側の会社の経営陣の同意なしに進められます。買収を仕掛ける側は、株主から直接株式を買い集めることで、会社の支配権を握ろうとします。これは、まるで敵対する相手を力ずくで制圧するような、激しい駆け引きを伴うことがあります。敵対的TOBは、現在の経営陣の手腕に不満を持つ株主が多い場合や、会社を分割して売却することで利益を得ようとする場合などに行われます。しかし、この方法は、買収される側の会社の経営陣や従業員からの強い反発を招くことが多く、会社の価値を損なう可能性も懸念されます。場合によっては、買収される側の会社が、別の会社に助けを求めて買収を持ちかける、いわゆる「白い騎士」戦略をとるなど、激しい攻防戦に発展することもあります。このように、TOBには友好的なものと敵対的なものがあり、それぞれの目的や状況に応じて使い分けられています。

種類 特徴 目的 結果
友好的TOB 買収される側の会社の経営陣の賛同を得て行われる 事業の提携や経営の統合といった目的を円滑に進めるため。経営が悪化している会社が再建のために支援してくれる会社に買収を依頼する。 従業員の雇用を守りながら経営の立て直しを図る。より効率的に開発を進める。
敵対的TOB 買収される側の会社の経営陣の同意なしに進められる。株主から直接株式を買い集めることで支配権を握る。 現在の経営陣の手腕に不満を持つ株主が多い場合。会社を分割して売却することで利益を得ようとする場合。 買収される側の会社が激しい反発。会社の価値を損なう可能性。激しい攻防戦に発展する可能性。

TOBのメリット

TOBのメリット

株式公開買い付け(TOB)には、買い手と売り手の双方に様々な利点があります。まず、買い手である企業にとっての利点を見てみましょう。TOBを行う最大のメリットは、短期間で大量の株式を取得できることです。通常の株式市場での取引では、まとまった数の株式を一度に取得するのは難しく、時間もかかります。TOBでは、あらかじめ買い付け価格と期間を公表することで、株主から直接株式を買い取ることができるため、迅速に経営権を握ることが可能になります。また、市場で少しずつ株式を買い集める方法と比べて、TOBは株価への影響を抑えながら買収を進めることができるという利点もあります。市場で大量の買い注文が発生すると、株価が急騰し、買収費用が増大する可能性がありますが、TOBでは事前に提示した価格で株式を取得できるため、このようなリスクを軽減できます。

一方、売り手である株主にもTOBはメリットをもたらします。TOBの買い付け価格は、通常、市場で取引されている価格よりも高く設定されます。これは買い付け側の企業が、株主に対して株式を売却するインセンティブを与えるためです。この価格差のことをプレミアムと呼び、株主にとっては市場価格で売却するよりも多くの利益を得られる機会となります。さらに、TOBでは、保有するすべての株式を一度に売却できるという利点もあります。通常、市場で大量の株式を売却しようとすると、株価が下落する可能性がありますが、TOBではそのような心配はありません。買い手企業があらかじめ提示した価格で、希望する株数を買い取ってくれるため、安心して保有株式を売却できます。このように、TOBは買い手企業にとっては効率的な買収手段となり、株主にとっては利益を得られる機会となるため、双方にとってメリットのある取引と言えるでしょう。

立場 メリット
買い手(企業) 短期間で大量の株式を取得できる。迅速に経営権を握ることが可能。
株価への影響を抑えながら買収を進めることができる。買収費用増大のリスクを軽減。
売り手(株主) 買い付け価格は市場価格より高く設定(プレミアム)、多くの利益を得られる。
保有するすべての株式を一度に売却できる。
株価下落の心配なく、安心して保有株式を売却できる。

TOBのデメリット

TOBのデメリット

会社を売却する際によく使われる方法の一つに、株式公開買い付け(TOB)というものがあります。これは、市場を通して、ある一定期間に、ある価格で株を買い取るというものです。一見、スムーズな売却方法に思えますが、TOBにはいくつかの思わぬ落とし穴があります。

まず、会社の経営陣にとって一番大きな懸念は、会社の支配権を失ってしまうことです。特に、敵対的買収を目的としたTOBの場合、買収を仕掛けてきた相手に対抗するための作戦を練らなければなりません。買収された後に、自分の立場が危うくなる可能性もあるため、経営陣にとっては大変な状況です。

また、株主にとっても、TOBにはリスクがあります。TOBに応じなかった株主は、少数派株主となってしまいます。そうなると、会社の経営に意見を言うことができなくなってしまうかもしれません。会社の進む方向に賛同できない場合でも、少数派の意見は通らなくなる可能性が高いのです。

さらに、TOB後の経営方針によって、株価が下がることも考えられます。買収した会社が、もとの会社の方針を大きく変えてしまうかもしれません。例えば、利益を追求するために、経費削減や人員整理を行うかもしれません。このような場合、短期的には株価が上がることもありますが、長期的には会社の価値を下げ、株価の下落につながる可能性も否定できません。

このように、TOBは経営陣や株主にとって、様々なリスクを伴います。TOBに参加するかどうかは、それぞれの立場や状況によって慎重に判断する必要があります。TOBの提案内容をよく吟味し、将来の会社の姿、自分の立場、株価の変動などを多角的に検討することが大切です。

立場 リスク
経営陣 会社の支配権を失う

買収後の立場が危うくなる
株主 TOBに応じないと少数派株主になる

会社の経営に意見を言えなくなる

TOB後の経営方針によって株価が下がる可能性がある

TOBの手続き

TOBの手続き

株式公開買付け(TOB)は、企業の支配権を取得するための重要な手段ですが、その手続きは法律によって細かく定められています。買収を望む企業は、綿密な準備と適切な手続きを踏む必要があります。まず、TOBを実施する前に、金融庁へ届け出を提出しなければなりません。この届け出には、「公開買付届出書」という書類を作成し、買収の目的、提示する株価、買付けを行う期間など、重要な情報を記載する必要があります。この届出書は、金融庁が審査し、問題がなければ受理されます。

届け出が受理されると、買収者は対象となる会社の株主に対して「公開買付説明書」を交付する義務が生じます。この説明書には、公開買付届出書に記載された情報に加えて、買収後の経営方針や株主への影響など、より詳細な情報が掲載されます。株主は、この説明書やその他の公開情報に基づいて、TOBに応募するかどうかを慎重に検討します。TOBへの応募は株主の自由意思であり、強制されることはありません。

定められた買付期間が終了し、応募株数が買付予定数に達した場合、TOBは成立となります。もし、応募株数が買付予定数に満たなかった場合は、TOBは不成立となり、買収は行われません。TOBが成立すると、買収者は応募した株主から株式を取得し、対象会社の経営権を握ることになります。こうして、買収者は新たな経営戦略に基づき、事業の再編や成長を目指していくことになります。TOBは企業の将来を大きく左右する重要な出来事であり、関係者にとっては重大な決定となります。

TOBの手続き

まとめ

まとめ

株式公開買い付け、いわゆるTOBは、企業を買収する際に用いられる大切な方法の一つです。会社の成長を目指す方法や事業の再編といった場面で、大きな役割を担っています。TOBは、買収する側、買収される会社、そして株主それぞれに良い点と悪い点があります。それぞれの立場をよく理解し、適切な行動をとることが大切です。

買収する側から見ると、TOBは短期間で多くの株を買い集めることができるため、経営権を握りやすいという利点があります。しかし、買い付け価格を高く設定する必要があるため、資金負担が大きくなるという難点もあります。また、目標とする株数を買い集められない場合、買収に失敗するリスクもあります。

買収される側から見ると、TOBによって株主は保有株を高く売却できる機会が得られます。しかし、買収後に経営方針が変わったり、雇用が不安定になる可能性もあります。また、会社の文化が変わってしまう可能性も考慮しなければなりません。

株主の立場から見ると、TOBに応募することで、保有株を市場価格よりも高く売却できる可能性があります。しかし、TOBに応募しなかった場合、買収後に株価が下落するリスクも抱えています。また、企業の将来性を見込んで保有していた株を、売却せざるを得ない状況になることもあります。

これからの経済状況や企業の戦略によって、TOBの重要性はさらに増していくと考えられます。TOBに関する正しい知識を持つことは、投資家としても、企業の経営者としても、非常に大切です。それぞれの立場におけるメリットとデメリットを理解し、状況に応じた的確な判断をすることで、TOBを有効に活用し、企業の成長や発展に繋げることが期待されます。

立場 メリット デメリット
買収する側 短期間で多くの株を買い集め、経営権を握りやすい
  • 資金負担が大きい
  • 目標株数を買い集められない場合、買収失敗のリスク
買収される側(会社) 株主は保有株を高く売却できる機会
  • 経営方針の変更
  • 雇用の不安定化
  • 企業文化の変化
株主 保有株を市場価格より高く売却できる可能性
  • TOBに応募しなかった場合、買収後に株価下落のリスク
  • 将来性を見込んで保有していた株の売却