損益計算書を読み解く

損益計算書を読み解く

転職の質問

先生、転職を考えているんですが、リスキリングのために資格取得にお金を使うべきか悩んでいます。損益計算書みたいに、将来の収益と費用を計算できればいいのに、って思います。

転職研究家

なるほど。リスキリングのための投資を費用として、転職後の収入増加を収益として捉えているわけだね。確かに損益計算書のように考えれば、費用対効果を検討しやすいね。

転職の質問

でも、将来の収入なんて正確にはわからないし、どう考えたらいいんでしょうか?

転職研究家

そうだね、将来のことは予測できない部分も多い。だから、資格取得にかかる費用だけでなく、資格を取らなかった場合の収入、資格を取って転職した場合の収入、それぞれのケースを想定して、いくつかのパターンを考えてみるといいよ。もちろん、収入だけでなく、仕事内容ややりがいなども合わせて検討することが大切だよ。

損益計算書とは。

仕事を変えることと、新しい技術を学ぶことに関して、『損益計算書』という用語が出てきます。これは、ある期間における会社の活動で、お金をどれくらい稼いだか、そしてどれくらい使ったかを明らかにすることで、経営の成績がどうだったかを表す報告書です。具体的には、売上高から売上原価を引いた『売上総利益』、売上総利益から販売費と一般管理費を引いた『営業利益』、営業利益に営業外損益を加えた『経常利益』、経常利益から法人税等を引いた『税引前当期純利益』、そして最終的に残った利益である『当期純利益』の5つの項目で構成されています。

損益計算書とは

損益計算書とは

損益計算書は、会社の一定期間の業績を明らかにする書類です。この書類は、まるで会社の健康診断結果のように、会社の状態を把握するために欠かせません。

通常、一年間を対象に作成され、決算書の一部としてまとめられます。会社の収入と支出を比較し、最終的にどれだけの利益または損失が出たかを示すことで、会社の経営状態を分析するための重要な情報源となります。

損益計算書は、大きく分けて「売上高」、「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、「営業利益」、「経常利益」、「税引前当期純利益」、「当期純利益」といった項目で構成されています。まず、「売上高」は商品やサービスを販売して得た収入の合計です。次に、「売上原価」は商品やサービスを作るためにかかった費用で、売上高から売上原価を引いたものが「売上総利益」となります。これは、商品やサービスを販売することで得られた利益を示します。

さらに、「販売費及び一般管理費」は、商品を売るためや会社を運営するためにかかった費用で、例えば広告宣伝費や人件費、事務所の家賃などが含まれます。売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたものが「営業利益」で、これは本業での儲けを示す重要な指標です。

「営業外収益」や「営業外費用」といった本業以外の収益や費用を加味したものが「経常利益」です。さらに、法人税などの税金を支払う前の利益が「税引前当期純利益」、そして最終的に残った利益が「当期純利益」となります。

このように、損益計算書を細かく見ていくことで、会社の収益力や、費用がどのように使われているのか、最終的にどれだけの利益を生み出しているのかを理解することができます。これは、投資家や金融機関がその会社に投資するかどうかを判断する際にも重要な資料となりますし、会社自身も経営改善のための重要な手掛かりとして活用できます。

損益計算書とは

5つの利益の構成

5つの利益の構成

会社の成績表とも言える損益計算書の中心となるのは、五つの利益、すなわち売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、そして当期純利益です。これらの利益は、段階的に費用を引くことで計算され、それぞれの利益が会社の様々な側面を浮き彫りにします。

まず、売上総利益は、商品の売上高から、その商品を作るためにかかった売上原価を引いたものです。これは、商品やサービスを売ることで直接得られた儲けの大きさを示しています。例えば、100円の商品を売って、その商品の材料費や製造にかかった費用が60円だった場合、売上総利益は40円となります。

次に、営業利益は、売上総利益から、販売活動や会社の管理運営にかかった費用である販売費及び一般管理費を引いたものです。これは、会社の本来の事業活動における儲けを示します。例えば、先ほどの売上総利益40円から、広告費や従業員の給料など20円を引くと、営業利益は20円となります。

さらに、経常利益は、営業利益に、会社の本来の事業以外の活動で得られた収入である営業外収益を足し、本来の事業以外の活動でかかった費用である営業外費用を引いたものです。これは、会社の通常の活動全体での儲けを示します。例えば、営業利益20円に、銀行預金の利息収入2円を足し、災害による損失1円を引くと、経常利益は21円となります。

そして、税引前当期純利益は、経常利益に、滅多にない特別な利益である特別利益を足し、滅多にない特別な損失である特別損失を引いたものです。これは、税金を払う前の利益を示します。例えば、経常利益21円に、土地を売って得た利益5円を足し、工場が火事になった損失3円を引くと、税引前当期純利益は23円となります。

最後に、当期純利益は、税引前当期純利益から、法人税などの税金を引いたものです。これは、最終的に会社に残る儲けを示します。例えば、税引前当期純利益23円から、税金5円を引くと、当期純利益は18円となります。

このように、五つの利益を段階的に見ることで、会社の儲ける力や、無駄なく仕事をしているか、そして経営の安定性など、様々な角度から分析することができます。

転職活動への活用

転職活動への活用

仕事を変える活動で、志望する会社のお金の流れをまとめた書類、つまり損益計算書をじっくり見てみることはとても大切です。この書類から、その会社がどれくらい儲けているのか、これから伸びそうか、将来どうなるのかを判断する手がかりが得られるからです。

まず、売り上げや利益がどのように変わってきたかを見ることで、会社の成長度合いが分かります。右肩上がりに増えているなら、勢いのある会社と言えるでしょう。もし減っていたら、何か問題があるかもしれません。次に、売り上げに対して利益がどれくらい出ているかを示す割合、つまり売上総利益率や営業利益率を見ることで、その会社がどれくらい効率よく儲けているかが分かります。この割合が高いほど、少ない費用で多くの利益を出している効率の良い会社と言えます。

さらに、本業以外も含めた全ての活動での利益、つまり経常利益や当期純利益の変化を見ることで、会社の経営状態が安定しているかを判断できます。これらの利益が安定して出ていれば、安心して働ける可能性が高いでしょう。反対に、大きく変動している場合は、何か不安定な要素があるかもしれません。

このように、損益計算書をよく見て会社の状態を理解し、将来を予測することで、自分に合った会社かどうかを判断する材料になります。転職活動では、たくさんの会社の中から自分にぴったりの会社を見つけ出すことが重要です。損益計算書は、そのための強力な道具となるでしょう。しっかりと活用することで、より良い選択ができるはずです。

見るべきポイント わかること 具体的な指標
売り上げや利益の変化 会社の成長度合い
利益の割合 会社の効率性 売上総利益率、営業利益率
本業以外も含めた利益の変化 経営の安定性 経常利益、当期純利益

リスキリングの必要性判断

リスキリングの必要性判断

自分の持っている技術や知識を新しく学び直す必要があるかどうかを判断する際に、企業の財務諸表の一つである損益計算書が役立ちます。損益計算書を見ることで、ある業界全体の動向や、特定の会社の経営状態を知ることができます。そして、その情報をもとに、将来その業界が伸びるかどうか、仕事が増えるかどうかを予想することができるのです。

例えば、転職を考えている業界の会社の業績が良くない、あるいは今後あまり成長しそうもないとします。そのような場合は、今のままでは将来仕事を得るのが難しくなるかもしれません。そこで、今の仕事とは違う技術や知識を学び、別の業界や職種への転職を考える必要が出てくるのです。これは、自分の持っている技術や知識を新しく学び直す、いわゆる「学び直し」をする必要があると判断できる一つの例です。

反対に、ある業界が急成長していて、高い利益を上げ続けているとします。そのような場合は、その業界で必要とされる技術や知識を身につけることで、より良い仕事に就ける可能性が高まります。これも「学び直し」の必要性を判断する材料となります。損益計算書の情報は、個人の将来の仕事について計画を立てる上で、とても貴重な手がかりとなるのです。

学び直しは、必ずしも損益計算書だけを見て判断するものではありません。周りの人の意見を聞いたり、様々な情報を集めたりすることも大切です。色々な方法を組み合わせて、自分に合った「学び直し」の時期や内容を見つけていきましょう。

リスキリングの必要性判断

まとめ

まとめ

損益計算書は、ある一定期間における企業の経営成績を明らかにする、重要な財務書類です。この書類から、企業がどれだけの利益をあげたのか、どのようにして利益をあげたのかを詳細に把握することができます。損益計算書は、主に五つの利益項目から構成されています。まず、売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益です。これは、商品やサービスを販売することで得られた利益を示します。次に、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたものが営業利益です。これは、本業での儲けを示す重要な指標です。そして、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いたものが経常利益です。これは、本業以外の活動も含めた企業の通常の経営活動による利益を示します。さらに、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが税引前当期純利益です。これは、税金を支払う前の利益です。最後に、税引前当期純利益から法人税等を差し引いたものが当期純利益です。これは、最終的に企業に残る利益であり、企業の本当の儲けを示す最も重要な指標です。転職活動において、志望企業の損益計算書を分析することは、企業の将来性や安定性を判断する上で非常に役立ちます。例えば、数年分の損益計算書を比較することで、売上高や利益の推移、費用構造の変化などを把握し、企業の成長性や収益性などを分析することができます。また、同業他社の損益計算書と比較することで、志望企業の強みや弱みを客観的に評価することも可能です。これにより、より適切な企業選択に繋がります。さらに、個人が新たに技能を身につける、いわゆるリスキリングの必要性を判断する上でも、損益計算書の情報は貴重な指針となります。特定の業界や企業の損益計算書を分析することで、将来性のある分野や需要の高い技能を予測することができ、自身のキャリアプランを考える上で役立ちます。損益計算書を読み解く能力は、ビジネスパーソンにとって必須のスキルと言えるでしょう。企業の財務状況を理解し、適切な意思決定を行うためにも、損益計算書の知識を深めることは重要です。